令和3年度 国家公務員共済組合連合会新小倉病院 病院指標
- 年齢階級別退院患者数
- 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
- 成人市中肺炎の重症度別患者数等
- 脳梗塞のICD10別患者数等
- 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数
解説
年齢階級別患者数は、令和3年度中に当院を退院した患者さんの年齢を10歳刻みで集計したものです。退院患者さんの年齢構成を調べると、その病院の特徴をある程度知ることができます。なお、集計後の患者数が10未満の場合は、―(ハイフン)にて表記しています。
年齢区分 | 0~ | 10~ | 20~ | 30~ | 40~ | 50~ | 60~ | 70~ | 80~ | 90~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
患者数 | ー | 18 | 41 | 35 | 89 | 166 | 326 | 706 | 591 | 179 |
病院に入院する患者さんは次第に高齢化してきています。全国の政令指定都市の中で北九州市は65歳以上の高齢化率が31.0%と最も高くなっています。当院で最も多い年齢区分は70歳代で次いで80歳代となっており、入院患者さんの多くを後期高齢者が占めていることがわかります。内科系、呼吸器センター、糖尿病センター、整形外科を始め多くの科において同じ傾向がみられ、当院が北九州地区の高齢者医療の一翼を担っていることを示しています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
解説
診断群分類別患者数等は、令和3年度中に当院を退院した患者さんを、診療科別にDPC14桁コード(※)の分類基準に従って集計したもので、症例数の多い順に「患者数、平均在院日数(自院・全国)、他病院への転院率、平均年齢」等を示したものです。これにより、それぞれの診療科がどのような疾患を多く診療しているかを知ることが出来ます。なお、集計後の患者数が10未満の場合は、―(ハイフン)にて表記しています。
※DPC14桁コードとは、入院で行われた治療行為を医療資源を最も投入した傷病名に手術、処置の有無などを組み合わせて分類したもので、「診断群分類」とも呼ばれます。
内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
040081xx99x0xx | 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし | 17 | 30.24 | 20.57 | 23.53% | 83.47 |
060100xx01xxxx | 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 | 10 | 2.30 | 2.65 | 0.00% | 65.60 |
060020xx04xxxx | 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 | ー | ー | 7.96 | ー | ー |
060035xx03xxxx | 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 | ー | ー | 6.78 | ー | ー |
060102xx99xxxx | 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし | ー | ー | 7.70 | ー | ー |
高齢化のため肺炎、誤嚥性肺炎の患者さんが多くなっています。当院では、肺炎治療及びその後のリハビリテーション(運動嚥下)、栄養療法を積極的に行っています。
大腸ポリープに対して、入院でポリープ切除を積極的に行っています。また、大腸検査の場合も便秘のある方、足の不自由な方、高齢の方など入院での検査も行っています。
循環器内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
030250xx991xxx | 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1あり | 25 | 2.00 | 2.03 | 0.00% | 60.28 |
050130xx9900xx | 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし | 17 | 31.18 | 17.35 | 0.00% | 81.00 |
050210xx97000x | 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1なし、1,3あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | ー | ー | 10.24 | ー | ー |
060380xxxxx00x | ウイルス性腸炎 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | ー | ー | 5.53 | ー | ー |
110310xx99xxxx | 腎臓又は尿路の感染症 手術なし | ー | ー | 13.14 | ー | ー |
当院の心不全の患者さんは、高齢で身体機能が低下している方が多く、ほとんどの場合、リハビリテーションが必要となります。
当院では、地域包括ケア病棟への転棟により中長期の治療にも対応しているため、十分な期間のリハビリテーションが可能です。
その結果、在院日数が全国平均と比較して長期化しています。
膠原病・リウマチ科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
110310xx99xxxx | 腎臓又は尿路の感染症 手術なし | 12 | 25.42 | 13.14 | 16.67% | 86.75 |
070560xx99x00x | 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 11 | 26.82 | 14.75 | 9.09% | 70.64 |
040110xxxxx0xx | 間質性肺炎 手術・処置等2なし | 10 | 29.90 | 18.42 | 0.00% | 69.80 |
070470xx99x0xx | 関節リウマチ 手術なし 手術・処置等2なし | ー | ー | 15.50 | ー | ー |
070470xx99x5xx | 関節リウマチ 手術なし 手術・処置等25あり | ー | ー | 3.12 | ー | ー |
リウマチ科では、「重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患」が1位となっています。これは、全身性エリテマトーデス・リウマチ性多発筋痛症・皮膚筋炎等の膠原病が対象となります。「関節リウマチ」に関しては、近年の治療の進歩は目覚ましく、当院でも生物学的製剤(注射)やJAK阻害薬(経口の分子標的抗リウマチ薬)を含めた治療を行うことにより、関節の痛みや腫れ、関節破壊がない寛解という状態を目指しています。当院では、多様な治療法により、個人の病勢、生活スタイルに応じたリウマチ治療を心がけています。
膠原病に合併する「間質性肺炎」についても積極的に診断・治療を行なっています。
呼吸器内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
040110xxxxx0xx | 間質性肺炎 手術・処置等2なし | ー | ー | 18.42 | ー | ー |
040040xx9910xx | 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし | ー | ー | 3.30 | ー | ー |
040100xxxxx00x | 喘息 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | ー | ー | 6.24 | ー | ー |
040210xx99xxxx | 気管支拡張症 手術なし | ー | ー | 12.61 | ー | ー |
040081xx99x0xx | 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし | ー | ー | 20.57 | ー | ー |
呼吸器内科では、肺の悪性腫瘍、肺炎、間質性肺炎が多く見られます。肺がんの診療は呼吸器外科と協力して行い、手術や化学療法などの治療を提供しています。間質性肺炎は病型や症状に応じた診療が必要で、急性増悪に伴う呼吸不全の悪化のために集中治療が必要となる場合があります。当院では呼吸器内科と呼吸器外科が共同して呼吸器センターで呼吸器疾患全般を対象としたチーム医療に取り組んでいます。
肝臓内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
060050xx99000x | 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 10 | 7.70 | 8.45 | 0.00% | 75.70 |
060300xx99x00x | 肝硬変(胆汁性肝硬変を含む。) 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | ー | ー | 11.16 | ー | ー |
060050xx030xxx | 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(一連として)等 手術・処置等1なし | ー | ー | 7.72 | ー | ー |
060350xx99x00x | 急性膵炎 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | ー | ー | 10.64 | ー | ー |
060050xx99001x | 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病あり | ー | ー | 15.71 | ー | ー |
肝臓内科では肝癌の入院が多く、令和3年度の1位・3位・5位となっています。造影CT・MRI・超音波検査を用いた検査や肝血管造影による治療、経皮的ラジオ波焼灼術、化学療法、緩和医療などを行なっています。
糖尿病・内分泌内科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
040081xx99x0xx | 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし | ー | ー | 20.57 | ー | ー |
110310xx99xxxx | 腎臓又は尿路の感染症 手術なし | ー | ー | 13.14 | ー | ー |
030400xx99xxxx | 前庭機能障害 手術なし | ー | ー | 4.92 | ー | ー |
0400801499x012 | 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病ありA-DROP スコア2 | ー | ー | 18.75 | ー | ー |
0400801499x001 | 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なしA-DROP スコア1 | ー | ー | 14.36 | ー | ー |
当院は地域中核病院の糖尿病センターとして、日本糖尿病学会専門医、糖尿病療養指導士を中心に医師と看護師・薬剤師・管理栄養士・検査技師・理学療法士等の多職種が密接に連携してチーム医療を行っています。また、合併症に関しては眼科や歯科など他科との連携も必要に応じて行っています。
上記の実績は急性期病棟のものですが、糖尿病に関する入院は地域包括病棟を中心に行っています。
外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
060335xx02000x | 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 46 | 10.30 | 7.11 | 0.00% | 67.15 |
060160x001xxxx | 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 | 31 | 7.71 | 4.74 | 0.00% | 71.81 |
060340xx03x00x | 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 20 | 13.70 | 9.21 | 0.00% | 81.85 |
060035xx010x0x | 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 定義副傷病なし | 17 | 25.24 | 15.76 | 0.00% | 73.88 |
060150xx03xxxx | 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 | 14 | 6.50 | 5.40 | 0.00% | 44.50 |
外科では1位[胆嚢結石、胆嚢炎]、2位[鼠径ヘルニア]、3位[胆管結石、胆管炎]、4位[結腸の悪性腫瘍] 、5位[虫垂炎]となっています。日本外科学会・日本消化器外科学会・日本乳癌学会・日本がん治療認定機構で認定された専門医や指導医が、消化器・乳腺疾患の手術、胆管結石・閉塞性黄疸に対する胆膵内視鏡インターベンション、がん化学療法、がん緩和治療、急性疾患・体調急変時の入院治療など幅広い外科診療を最新の知識・エビデンス・診療ガイドラインに基づいて行っています。
整形外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
07040xxx01xxxx | 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 | 43 | 36.40 | 20.63 | 9.30% | 66.35 |
160800xx01xxxx | 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 | 27 | 50.22 | 25.32 | 11.11% | 83.78 |
160690xx99xxxx | 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし | 22 | 30.77 | 19.34 | 9.09% | 81.14 |
160720xx01xxxx | 肩関節周辺の骨折・脱臼 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿等 | 14 | 47.93 | 14.64 | 7.14% | 76.14 |
070230xx01xxxx | 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 | 12 | 45.83 | 23.02 | 0.00% | 74.75 |
整形外科では上位5位中「股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む)」、「股関節・大腿近位の骨折」、「膝関節症(変形性を含む)」が含まれました。関節の治療、特に人工関節の治療に力を入れているためと思われます。
また、「胸椎、脊椎以下骨折損傷」及び「脊椎骨粗鬆症」も多く、高齢者に多い骨粗鬆症による脊椎骨折や骨盤骨折の治療にも力を入れています。当院には地域包括ケア病棟があり、リハビリ転院せずに地域包括ケア病棟で継続できるため、平均在院日数が全国平均より長くなっています。
呼吸器外科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
040040xx9910xx | 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし | 44 | 2.41 | 3.30 | 4.55% | 75.25 |
040040xx99080x | 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等28あり 定義副傷病なし | 31 | 6.29 | 9.01 | 0.00% | 74.77 |
040040xx97x00x | 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 18 | 14.56 | 10.47 | 5.56% | 72.06 |
040040xx99040x | 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし | 14 | 8.21 | 9.07 | 7.14% | 69.50 |
040200xx99x00x | 気胸 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし | 13 | 7.69 | 9.28 | 0.00% | 60.23 |
呼吸器外科の診療対象は、肺・縦隔・胸壁、そして気管・気管支に及ぶ疾患です。令和3年度は1位から4位まで「肺の悪性腫瘍(=肺癌・転移性肺腫瘍)」に関する内容となっています。当科肺癌や転移性肺腫瘍、それらの疑いのある患者さんについては呼吸器内科や近隣の医療機関とも連携しつつも、ほぼ当科で診療を行っているため診察、検査、治療、定期フォロー、再発時の治療、緩和医療までシームレスに対応しています(多くの施設では手術は外科、薬物治療は内科と分けているところが殆どです)。殆どの手術は、胸腔鏡(内視鏡)手術によって患者さんに侵襲の少ない手術を行っています。また低肺機能の患者さんに対しては肺切除量を減らす区域切除等の縮小手術、さらに健常な肺組織を温存する気管支形成術等も行っております。特に肺がんに関しては、外科治療のみならず、薬物療法、放射線治療を組み合わせた集学的治療を行い、患者さんやご家族のニーズに沿った医療を目指しています。
また平均在院日数が他院よりも長く見えますが、当院は急性期病棟と地域包括ケア病棟を併せ持つ数少ない病院で、急性期治療期間を終えた患者さんの継続的治療やリハビリテーションが同一病院内で提供できるためです。ゆっくり体力回復に努めていただき、その間に必要に応じて医師・看護師・薬剤師・リハビリテーション技師・ソーシャルワーカーも関与して在宅復帰支援も行っております。まずは何でもご相談ください。
泌尿器科
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
110080xx991xxx | 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり | 59 | 2.44 | 2.50 | 0.00% | 72.58 |
110070xx03x0xx | 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2なし | 37 | 10.65 | 7.02 | 0.00% | 75.97 |
11012xxx020x0x | 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 手術・処置等1なし 定義副傷病なし | 27 | 13.44 | 5.56 | 7.41% | 70.19 |
110420xx02xx0x | 水腎症等 経尿道的尿管ステント留置術等 定義副傷病なし | 16 | 6.94 | 3.99 | 6.25% | 71.50 |
110200xx02xxxx | 前立腺肥大症等 経尿道的前立腺手術等 | 15 | 21.87 | 8.23 | 0.00% | 77.07 |
泌尿器科では、前立腺癌疑い患者に対する生検にて最も多く入院されており、次いで膀胱癌、尿路結石や水腎症に対する患者の入院が多いです。尿が出なくなったりする場合は、前立腺肥大症に対する手術目的で入院しています。また、腎臓癌、腎盂尿管癌に対する手術、抗癌化学療法も行っています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
解説
初発5大癌分類別並びに再発患者数は、令和3年度中に当院を退院した患者さんを、現在日本で最も罹患率の高い5つのがん(胃がん・大腸がん・乳がん・肺がん・肝がん)の病期(ステージ)ごとの症例数を集計したものです。がんの症例数を調べることで、その病院がどの程度がん治療を積極的に行っているかを知ることができます。また病期分類別にみることで、その病院の診療の幅広さを知ることができます。なお、集計後の患者数が10未満の場合は、―(ハイフン)にて表記しています。
5大癌 | 初発 | 再発 | 病期分類 基準(※) | 版数 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Stage I | Stage II | Stage III | Stage IV | 不明 | ||||
胃癌 | 15 | ― | ― | ― | ― | ― | 1 | 第6,7,8版 |
大腸癌 | 13 | ー | 18 | ー | 13 | ー | 1 | 第6,7,8版 |
乳癌 | ー | ー | ー | ー | ー | ― | 1 | 第7,8版 |
肺癌 | 21 | ー | 17 | 63 | 34 | 81 | 1 | 第7,8版 |
肝癌 | ― | ― | ― | ― | ― | 17 | 1 | 第6,7,8版 |
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
当院では幅広いがん診療を積極的に行っています。5大がんではステージI、ステージII、ステージIII、ステージIV、再発と進行度が広範囲に及んでいます。ステージI、ステージIIの早期がんでは手術単独で治癒が期待できますが、ステージIII、ステージIV、再発では手術に加えてがん化学療法(抗がん剤治療)が重要です。最近の抗がん剤の進歩はめざましく、新規薬剤の登場によって患者さんの生命予後が大幅に延長されています。日本がん治療認定機構で認められた経験豊富な認定医が、多岐にわたるがん化学療法を最新の知識・エビデンス・診療ガイドラインに基づいて実施しています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等
解説
成人市中肺炎の重症度別患者数等は、令和3年度中に当院を退院した患者さんより、成人(20歳以上)の肺炎患者さんについて重症度別に患者数、平均在院日数、平均年齢を集計したものです。なお、集計後の患者数が10未満の場合は、―(ハイフン)にて表記しています。
重症度 | 患者数 | 平均 在院日数 |
平均年齢 |
---|---|---|---|
軽症 | ー | ー | ー |
中等症 | 43 | 15.79 | 80.00 |
重症 | ー | ー | ー |
超重症 | ー | ー | ー |
不明 | ― | ― | ― |
市中肺炎は普段の生活の中で罹患した肺炎で、罹患率が高く、日本人の死亡原因の上位に位置する重要な疾患です。当院では軽症から重症までの肺炎の診療に取り組んでおり、高齢者ほど重症化する傾向がみられます。平均入院期間も重症度が上がるに伴って長期化しています。高齢者だけでなく、糖尿病や心疾患などの基礎疾患を有する場合も肺炎の重症化や基礎疾患の増悪がみられることがあるため、総合的な診療が求められ、呼吸器センターおよび総合内科を中心としたチーム医療に努めています。
脳梗塞のICD10別患者数等
解説
脳梗塞のICD10別患者数等は、令和3年度中に当院を退院した患者さんより脳梗塞の病型別の患者さんについて、患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を集計したものです。なお、集計後の患者数が10未満の場合は、―(ハイフン)にて表記しています。
ICD10 | 傷病名 | 発症日から | 患者数 | 平均 在院日数 |
平均年齢 | 転院率 |
---|---|---|---|---|---|---|
I63$ | 脳梗塞 | 3日以内 | ― | ― | ― | ― |
その他 | ― | ― | ― | ― |
脳血管疾患も死亡原因の上位に位置する疾患です。脳梗塞は早期の治療及びリハビリテーションが効果的とされています。
当院では、脳梗塞に対して薬物療法ならびに早期リハビリテーションを中心に診療を行っています。
また、後遺症等の残存により自宅への退院が困難となる場合も、地域包括ケア病棟への転棟により中長期間の治療にも対応しています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
解説
診療科別主要手術別患者数等は、令和3年度中に当院を退院した患者さんを、診療科別に件数の多い上位5術式について、「患者数、平均術前日数、平均術後日数、手術後における他病院への転院率、平均年齢」を示したものです。それぞれの診療科がどのような手術を多く行っているかを知ることが出来ます。なお、集計後の患者数が10未満の場合は、―(ハイフン)にて表記しています。
内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均術前日数 | 平均術後日数 | 転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K721-4 | 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 | 13 | 1.08 | 6.08 | 0.00% | 76.54 |
K7211 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2センチメートル未満 | ― | ― | ― | ― | ― |
K6532 | 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術 | ― | ― | ― | ― | ― |
K654 | 内視鏡的消化管止血術 | ― | ― | ― | ― | ― |
K526-22 | 内視鏡的食道粘膜切除術 早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術 | ― | ― | ― | ― | ― |
治療内視鏡では、早期胃がん、早期大腸がんに対し、内視鏡的粘膜下層剥離術や内視鏡的粘膜切除術を積極的に行っています。
また、手術が必要な場合は、外科と連携し診療しています。
肝臓内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均術後日数 | 転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K697-31ロ | 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼凝固法(一連として) 2センチメートル以内のもの その他のもの | ー | ー | ー | ー | ー |
K6532 | 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術 | ー | ー | ー | ー | ー |
K7211 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2センチメートル未満 | ー | ー | ー | ー | ー |
K6152 | 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等) 選択的動脈化学塞栓術 | ー | ー | ー | ー | ー |
K697-32ロ | 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼凝固法(一連として) 2センチメートルを超えるもの その他のもの | ー | ー | ー | ー | ー |
当院では消化管病変に対する内視鏡的治療や肝悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼療法を行っています。
外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K672-2 | 腹腔鏡下胆嚢摘出術 | 52 | 2.92 | 8.92 | 0.00% | 67.13 |
K634 | 腹腔鏡下鼠経ヘルニア手術(両側) | 28 | 1.00 | 5.79 | 0.00% | 71.29 |
K719-3 | 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 | 19 | 4.42 | 21.63 | 0.00% | 73.11 |
K718-21 | 腹腔鏡下虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの | 14 | 0.57 | 4.93 | 0.00% | 44.50 |
K688 | 内視鏡的胆道ステント留置術 | 13 | 5.15 | 17.92 | 7.69% | 86.15 |
外科では1位[腹腔鏡下胆嚢摘出術]、2位[腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術]、3位[腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術]、4位[腹腔鏡下虫垂切除術]、5位[内視鏡的胆道ステント留置術]となっています。低侵襲治療である腹腔鏡下手術、内視鏡的手術が増加しています。消化器がん、胆石症、ヘルニア、虫垂炎、イレウス、乳がんなど幅広い外科手術を最新の知識・エビデンス・診療ガイドラインに基づいて実施しています。
整形外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K0821 | 人工関節置換術 肩、股、膝 | 66 | 3.17 | 36.95 | 6.06% | 69.05 |
K0461 | 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿 | 29 | 5.28 | 38.69 | 10.34% | 80.28 |
K0462 | 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨 | 16 | 5.19 | 27.06 | 0.00% | 75.25 |
K0483 | 骨内異物(挿入物を含む)除去術 前腕、下腿 | 12 | 1.42 | 10.83 | 0.00% | 66.08 |
K0811 | 人工骨頭挿入術 肩、股 | 11 | 7.00 | 49.82 | 18.18% | 84.55 |
当院の整形外科では、関節の治療、特に人工関節手術に力を入れているため、圧倒的に関節の手術が多くあります。また人工関節のみでなく、骨切り術により自分の関節を温存して痛みをとる治療も積極的に行っています。当院の近隣にお住まいの方は高齢者が多いため、上下肢の骨折の治療も多く扱っています。当院には地域包括ケア病棟があり、リハビリ転院せずに地域包括ケア病棟で継続できるため、平均在院日数が全国平均より長くなっています。
呼吸器外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K514-23 | 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの | ー | ー | ー | ー | ー |
K514-21 | 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 部分切除 | ー | ー | ー | ー | ー |
K5131 | 胸腔鏡下肺切除術 肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの) | ー | ー | ー | ー | ー |
K496-2 | 胸腔鏡下醸膿胸膜又は胸膜胼胝切除術 | ー | ー | ー | ー | ー |
K5132 | 胸腔鏡下肺切除術 部分切除 | ー | ー | ー | ー | ー |
呼吸器外科では、「肺の悪性腫瘍」に関する手術が大半を占めています。当院の特徴として、殆どの手術は、胸腔鏡(内視鏡)手術によって患者さんに侵襲の少ない手術を行っています。また低肺機能の患者さんに対しては肺切除量を減らす区域切除等の縮小手術、さらに健常な肺組織を温存する気管支形成術等も行っております。特に肺がんに関しては、外科治療のみならず、薬物療法、放射線治療を組み合わせた集学的治療を行い、患者さんやご家族のニーズに沿った医療を目指しています。
泌尿器科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|---|---|
K8036イ | 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの | 39 | 1.92 | 7.74 | 0.00% | 76.33 |
K783-2 | 経尿道的尿管ステント留置術 | 34 | 2.76 | 6.32 | 20.59% | 75.65 |
K7811 | 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの | 26 | 3.00 | 9.81 | 7.69% | 70.12 |
K8411 | 経尿道的前立腺手術 電解質溶液利用のもの | 19 | 5.95 | 15.84 | 5.26% | 76.00 |
K773-2 | 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 | ー | ー | ー | ー | ー |
泌尿器科では内視鏡手術が多く行われています。膀胱癌に対する経尿道的手術が最も多く、水腎症に対する尿管ステント留置術、昨年度より開始したレーザーを用いた経尿道的尿路結石術、前立腺に対する手術が行われております。腎癌、腎盂尿管癌に対する腹腔鏡手術、進行膀胱癌に対する腹腔鏡下膀胱全摘術も行っております。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
解説
入院中の感染症や合併症の発生率を表しています。「入院契機」の「同一」は、入院の原因となった病気がもとで感染症や合併症を発症した場合、「異なる」は入院の原因とは異なって感染症や合併症を発症した場合としています。なお、集計後の患者数が10未満の場合は、―(ハイフン)にて表記しています。
DPC | 傷病名 | 入院契機 | 症例数 | 発生率 |
---|---|---|---|---|
130100 | 播種性血管内凝固症候群 | 同一 | ― | ― |
異なる | ― | ― | ||
180010 | 敗血症 | 同一 | ― | ー |
異なる | ー | ー | ||
180035 | その他の真菌感染症 | 同一 | ― | ― |
異なる | ― | ― | ||
180040 | 手術・処置等の合併症 | 同一 | 11 | 0.51% |
異なる | ― | ― |
疾患そのものや治療による免疫力低下など様々な原因で、細菌・真菌による感染症を発症する場合があります。また感染症に伴い播種性血管内凝固症候群を発症することがあります。この指標は入院中の感染症や合併症の発生率を示したもので、症例数、発生率ともに減少させることを目的としています。
播種性血管内凝固症候群とは全身の血管に血栓が生じるものであり、敗血症とは生命を脅かす感染に対する生体反応で、どちらも生命に重大な危険をもたらします。当院ではこれらの疾患による入院はありませんでした。手術・処置等の合併症については、DPC病名と入院契機病名が同一となっています。つまり、全例が手術・処置などの合併症を主訴として入院し、治療を受けたということです。今回は、DPC病名と入院契機病名が異なる(手術後に合併症が発生)症例はありませんでしたが、術後合併症は一定の確率で起こり得ます。起こり得る合併症につきましては、事前に患者さんに説明したうえで、手術や処置の施行に同意をいただくようにしています。
また、新小倉病院では、感染対策専従看護師を配置し、専任の複数の医師・看護師・薬剤師・検査技師等の組織を設け、最も高い施設基準を取得しています。また、感染対策地域連携における基幹病院としての役目も務めています。
更新履歴
R4.9.30
新規公表(R3年度データ:様式1,様式4,Dファイル)