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胃がんの症状とは?初期症状から注意すべき兆候まで解説

2025年11月13日

胃がんの症状とは?初期症状から注意すべき兆候まで解説

胃がんは自覚症状が乏しい病気として知られており、早期発見が難しいのが特徴です。初期症状は日常的な不調とよく似ているため、気づかないまま進行してしまうことも少なくありません。

この記事では、胃がんの初期症状や進行したときに現れる兆候、他の病気との違いまで詳しく解説します。

記事を読めば、どんな症状に注意すべきかがわかり、胃がんの早期発見・予防に役立つはずです。

胃がんの初期症状

胃がんの初期症状

胃がんの初期症状は自覚しにくいため、気づかないまま進行するケースが少なくありません。数週間以上続く違和感や体調の変化は見逃さないことが大切です。

軽い症状でも早期発見につながる可能性があるため、以下のサインに気づいたら早めに消化器内科を受診しましょう。

それぞれ、詳しく解説します。

吐き気・胸やけを感じる日が増える

吐き気や胸やけが多く見られる場合、胃がんの初期サインの可能性があります。

胃の粘膜に腫瘍ができることで胃酸の分泌や流れが乱れ、食道に逆流しやすくなるためです。

とくに、以下のような症状が数週間以上続くときは注意しましょう。

これらの症状は一見すると逆流性食道炎や胃炎と似ているため、自己判断で市販薬に頼りがちです。
しかし、市販薬で一時的に症状が和らいでも、根本的な原因は残ったままの可能性があります。症状を繰り返す場合や、生活習慣を見直しても改善しない場合は早めに消化器内科を受診しましょう。

みぞおちや胃の違和感・痛みを生じる

みぞおちの違和感や軽い痛みが続く場合も、胃がんの初期サインとして注意が必要です。胃の内側に小さな腫瘍ができると、胃壁が刺激されて張り感や不快感を引き起こすことがあります。
具体的には、以下のような症状が見られることがあります。

これらの症状は胃炎や胃潰瘍ともよく似ているため、自己判断で区別するのは難しい症状です。違和感や痛みが数週間以上続く場合は、内視鏡検査などで原因を確認することが早期発見につながります。

黒色便(タール便)が見られる

便の色が黒く変化するのは、胃がんの初期に起こり得る重要なサインです。
腫瘍から出血があると、その血液が消化液で分解され、黒色で粘り気のある便として体外に排出されます。

黒色便の特徴は以下のとおりです。

黒色便は胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの病気でも起こるため、放置は危険です。便の色が変化している場合は身体のSOSと考え、できるだけ早く消化器内科で検査を受けましょう。

原因不明の貧血が起こる

原因がわからない貧血が続くときは、胃がんの初期サインの可能性があります。

腫瘍から少量の出血が続くと鉄分が不足し、貧血が起こりやすくなるからです。

とくに血液検査で鉄不足や赤血球の小型化が見つかる場合は、慢性的な出血による鉄欠乏性貧血が疑われます。

便潜血検査や内視鏡検査で出血源を確認することが、胃がんの早期発見につながります。

ゲップ・おならなど"ガス症状"は胃がんの初期サイン?

ゲップ・おならなど

ゲップやおならといった症状だけで胃がんと断定することはできません。ただし、症状が長引く場合や、ほかの不調と併発する場合は注意が必要です。

胃がんが進行すると食べ物の消化や移動が滞り、ガスがたまりやすくなるからです。

また、腫瘍が胃の出口を狭めると、胃内に空気や食べ物が停滞し、ゲップや膨満感として表れることもあります。

以下のような変化が続く場合は、消化器内科の受診を検討しましょう。

ガス症状は生活習慣やストレスでも起こりますが、長く続く場合やほかの症状を伴うときは、身体からの重要なサインかもしれません。

進行した胃がんの症状

進行した胃がんの症状

以下のような症状が続く場合は、進行した胃がんの可能性があります。

それぞれ、詳しくみていきましょう。

吐き気や嘔吐、胸やけ、胃もたれが続く

進行した胃がんでは、吐き気や嘔吐、胸やけ、胃もたれといった症状が強くなり、長く続くことがあります。
腫瘍が大きくなることで胃の動きが妨げられ、食べ物の通過や消化がスムーズに行えなくなるためです。
たとえば、以下のような状態です。

これらの症状は胃炎や胃潰瘍でも見られますが、進行した胃がんではより重度で、生活に支障をきたすほど改善しにくい傾向があります。

食べ物が飲み込みづらくなる

進行した胃がんでは、食べ物がスムーズに通らず、飲み込みにくいと感じることがあります。

腫瘍が通路を狭めることで、食べ物が胸の奥でつかえるような違和感を引き起こします。とくに胃の入口付近(噴門部)に腫瘍ができると、この症状が現れやすいです。

固形物が途中で止まるように感じ、水分を一緒に取らなければ飲み込みにくい場合もあります。

さらに症状が進行すると、やわらかい食べ物や液体であっても、飲み込みにくくなることがあります。

吐血が見られる

進行した胃がんでは、吐血の症状が現れることがあります。

腫瘍が胃の粘膜や血管を傷つけ、出血を引き起こすためです。出血が胃の中にたまり、食道を通じて口から出てくると「吐血」として現れます。

鮮やかな赤色の血液として出てくる場合もあれば、胃酸によって変化し、コーヒー残渣様吐物(コーヒーかすのような黒褐色の顆粒)となって吐き出されることもあります。

コーヒー残渣様吐物は血液が胃酸で酸化・変性したもので、比較的ゆっくりとした出血に多く見られる所見です。

体重減少・食欲不振が進む

進行した胃がんでは体重が大きく減少し、食欲も低下していきます。

がんの進行によって胃の消化機能が低下し、食べ物を十分に取り込めなくなるためです。

たとえば、少し食べただけで胃がもたれるように感じ、食事の量が自然と減ってしまうことがあります。

さらに、がん自体が栄養やエネルギーを大量に消耗することで、身体に必要な栄養が行き渡りにくくなります。結果として体重減少が急激に進み、全身の衰弱(カヘキシア)につながることも少なくありません。

胃がんと間違えやすい他の病気

胃がんと間違えやすい他の病気

胃がんの症状は、日常的によくある胃の不調や消化器疾患と似ているため、初期の段階では区別がつきにくいことがあります。

ここでは、とくに胃がんと症状が重なりやすい代表的な病気を紹介します。

それぞれ、詳しくみていきましょう。

胃炎・機能性ディスペプシア

胃炎や機能性ディスペプシアは、胃の不快感や吐き気、胃もたれなどの症状が胃がんとよく似ているため間違えやすい病気です。

胃炎は、胃の粘膜に炎症が起きた状態を指します。急性胃炎は暴飲暴食やストレス、薬剤(鎮痛薬など)、感染などが原因で短期間に症状が出ます。慢性胃炎の代表例はピロリ菌感染によるものです。

一方、機能性ディスペプシアは、胃や十二指腸に検査で明らかな異常が見つからないにもかかわらず、慢性的に不快感や痛みが続く病気です。

胃炎や機能性ディスペプシアと胃がんの違いは、症状の経過と全身への影響にあります。

胃炎や機能性ディスペプシアは、生活習慣の改善や胃薬の使用によって比較的症状が軽快することが多いです。症状も一進一退する傾向があり、強い全身症状を伴うことはほとんどありません。

一方、胃がんは時間の経過とともに症状が悪化していく点が大きな特徴です。体重減少や食欲不振、貧血などの全身的な衰弱症状も伴います。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、ピロリ菌感染や薬剤の長期使用、ストレスなどによって、胃や十二指腸の粘膜に潰瘍(ただれ)ができる病気です。

みぞおちの痛みや胃もたれ、黒色便といった胃がんに似た症状が現れるため、区別がつきにくいことがあります。

胃潰瘍は胃薬でよくなることが多いのに対し、胃がんは薬では改善せず、徐々に悪化していくのが特徴です。

胃潰瘍は全身への影響が少ない一方で、胃がんでは体重減少や食欲不振、貧血など全身に影響が及ぶケースが多く見られます。

逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃酸が食道へ逆流することで粘膜に炎症が起き、胸やけ(胸の奥が焼けるような感じ)や上腹部の不快感が現れる病気です。胃がんの初期症状と似ているため、誤認されやすい点があります。

逆流性食道炎では、症状が主に胸の中央から喉にかけての焼けるような痛みとして出やすく、とくに食後や横になったときに悪化しやすいのが特徴です。

一方で胃がんでは、症状が徐々に進行し、食欲不振や体重減少といった全身的な影響を伴うことが多くなります。

胃がんになりやすい人の特徴

胃がんになりやすい人の特徴

胃がんになりやすい人の特徴は以下のとおりです。

特徴 胃がんリスクとの関係
ピロリ菌に感染している人 胃粘膜に慢性的な炎症を起こし、胃がんの大きな原因になる
50歳以上の中高年層 年齢とともに胃粘膜のダメージが蓄積し、発症リスクが高まる
喫煙・飲酒習慣がある人 胃粘膜を傷つけ、がんを誘発しやすくする
塩分の多い食事を好む人 塩分が胃粘膜に負担をかけ、がん化のリスクを高める
家族に胃がんの人がいる 遺伝的要因や生活習慣の影響でリスクが上がる

上記に当てはまる人は胃がんのリスクが高い傾向にあります。予防のためにも、定期的に検査を受けることを心がけましょう。

胃がんを防ぐためにできること

胃がんを防ぐためにできること

胃がんは日常生活の工夫や適切な医療措置によって予防することが可能です。
ここでは、胃がんを防ぐために有効とされる取り組みを紹介します。

それぞれ、詳しくみていきましょう。

ピロリ菌の検査と除菌治療を受ける

胃がんを防ぐためには、ピロリ菌の有無を調べ、感染があれば早めに除菌治療を受けることが大切です。

ピロリ菌は胃がんの最大の危険因子とされています。感染が長く続くと胃の粘膜に炎症や傷みが起こり、がんができやすい状態になるからです。

世界中の研究をまとめた調査によると、ピロリ菌を除菌した人は、除菌していない人に比べて胃がんの発症リスクがおよそ半分に減ることが明らかになっています。

日本では2013年からピロリ菌感染胃炎に対する除菌治療が保険適用となり、年間約150万人が治療を受けています。

参考:村上 和成 | ピロリ菌感染と胃がんとの関連

バランスの良い食事を心がける

胃がんを予防するためには、日ごろの食生活も大きなポイントになります。

具体的には、胃の粘膜に負担をかけない食材を選び、炎症やダメージを抑える栄養素をしっかりと摂ることが大切です。

以下の食品は胃の粘膜を傷つけたり、慢性的な炎症を引き起こしたりする原因になるため、できるだけ控えましょう。

一方で、積極的に摂りたいのは以下のような食材です。

これらの食品は胃の粘膜を守り、全身の健康維持にもつながります。

禁煙・節酒を意識する

喫煙と過度な飲酒は、胃の粘膜に大きなダメージを与えるため注意が必要です。

たばこに含まれる有害物質は胃粘膜を直接刺激し、慢性的な炎症を引き起こします。その結果、胃がんの発症リスクが高まることが数多くの研究で示されています。

また、アルコールも大量に摂取すると胃酸の分泌を増やし、粘膜を荒らす原因です。毎日のように多量の飲酒を続けている人は、胃がんのリスクが上がるといわれています。

禁煙を実行すること、そして飲酒は適量にとどめることが、胃がん予防につながります。

参考:国立がん研究センター | たばこ・お酒と胃がんの関連について

定期的に健康診断や胃カメラを受ける

胃がんは定期的な検診による早期発見が非常に重要です。

胃がんは初期の段階ではほとんど自覚症状がなく、症状が出るころには進行していることも多いからです。

年に一度の健康診断では、胃のX線検査や血液検査などによって胃がんのリスクをチェックできます。

精密な確認には、胃カメラ(内視鏡検査)が有効です。直接胃の内部を観察できるため、わずかな異常も見逃さずに発見できます。

とくに50歳以上の中高年の方や、家族に胃がんの既往がある方はリスクが高いため、定期受診を心がけましょう。

まとめ

胃がんは初期段階では自覚症状が乏しく、気づかないまま進行してしまう病気です。

吐き気や胸やけ、みぞおちの違和感、黒色便、原因不明の貧血など、一見すると日常的な不調にも思える症状が、胃がんのサインの場合もあります。

また、胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎など、胃がんと似た症状を示す病気も多いため、自己判断で市販薬に頼るのは危険です。

症状が続くときは、早めに消化器内科で検査を受けましょう。「ちょっとした違和感」を軽視せず、生活習慣の改善と定期的な検査を意識することが、胃がんを防ぐことにつながります。


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