整形外科と整骨院の違いとは?症状別の選び方や併用時の注意点を解説
2025年11月28日

整形外科と整骨院は、どちらも身体の痛みや不調に対応できますが、資格や治療内容、保険の適用範囲などに違いがあります。
選び方を間違えると、必要な検査や治療を受けられなかったり、思わぬ費用負担が発生したりすることもあるため注意が必要です。
この記事では、整形外科と整骨院の違いをわかりやすく整理し、症状別の受診先の目安について解説します。
整形外科と整骨院(接骨院)の違い

整形外科と整骨院(接骨院)の違いは以下のとおりです。
| 整形外科 | 整骨院 | |
|---|---|---|
| 資格 | 医師 | 柔道整復師 |
| 運営 | 病院やクリニックとして運営 | 民間の施術所として運営 |
| 治療内容 | ・投薬 ・注射 ・リハビリ指導 ・手術 など |
・手技療法 ・電気治療 ・温熱療法 ・テーピング など |
| 診断・検査などの医療行為 | レントゲンやMRIなどの検査で正確に診断可能 | 不可 |
| 保険適用 | ほぼ全てに適用 | 急性外傷(骨折・脱臼・捻挫・打撲など)のみ |
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
運営・資格の違い
整形外科と整骨院の大きな違いは、施術を行う資格と運営体制にあります。
整形外科は、医師が診療を行う医療機関(病院・クリニック)です。医師免許を持つため、診断・投薬・注射・手術などの医療行為が法律的に認められています。
また、レントゲンやMRIなどの検査機器を備えており、症状の原因を科学的に特定したうえで治療方針を立てることが可能です。
一方で、整骨院は、国家資格である柔道整復師が施術を行う民間の施術所です。柔道整復師は医師ではないため、診断や薬の処方などの医療行為は行えません。
あくまで、手技や物理療法などによって痛みや不調を緩和し、回復をサポートすることを目的としています。
整形外科は「医師による医療の場」、整骨院は「柔道整復師による施術の場」と理解しておきましょう。
治療内容の違い
整形外科と整骨院では、治療の方法や対応できる範囲に大きな違いがあります。
整形外科では医師の診断をもとに、投薬や注射、リハビリ指導、さらに必要に応じて手術まで対応可能です。医療機関ならではの検査設備も整っており、骨折や変形性関節症など医療処置が必要な症状にも対応できます。
必要に応じて理学療法士によるリハビリテーションも実施され、再発防止や機能回復まで総合的にサポートします。一方、整骨院では柔道整復師が手技療法や電気治療、温熱療法などを行います。
たとえば、スポーツで足を捻挫した場合、整骨院ではテーピングや手技による施術を受けられます。しかし、骨折の有無を確認したい、痛み止めを処方してほしいといった場合には整形外科の受診が必要です。
診断・検査体制の違い
整形外科と整骨院の大きな違いは、診断や検査の可否にあります。
整形外科は医師が在籍しているため、レントゲンやMRIなどの画像検査を用いて症状を正確に診断できます。骨折や関節の異常などの医学的判断を必要とするケースにも対応可能です。
一方、整骨院は柔道整復師が施術を行うため、診断や画像検査といった医療行為は認められていません。
そのため、痛みの原因を特定する検査や病名の診断はできず、施術はあくまで症状の改善を目的とした範囲にとどまります。
保険の適用範囲の違い
整形外科と整骨院では、健康保険の適用範囲にも明確な違いがあります。
整形外科では、診察・検査・投薬・注射・リハビリ・手術など、原則すべての医療行為に健康保険が適用されます。
慢性的な腰痛や関節痛、加齢による変形性関節症などの長期的な疾患も保険診療の対象となり、経済的な負担を抑えながら継続的に治療を受けられるのが特徴です。
また、医師の診断書に基づく治療であるため、労災・交通事故・介護保険など、他制度との連携もスムーズに行えます。
一方、整骨院で健康保険が適用されるのは、骨折・脱臼・打撲・捻挫などの急性の外傷に限られます。肩こりや慢性的な腰痛、疲労回復目的の施術などは保険の対象外であり、自費での施術が基本です。
まず整形外科で診断を受けて、必要なら整骨院へ

症状の原因が分からない場合や、骨・関節・神経に異常が疑われる場合は、まず整形外科で診断を受けることが重要です。
整形外科ならレントゲンやMRIなどの検査により、正確な診断と適切な治療方針を立てることができます。
その上で、整形外科で「積極的な治療の対象外」と判断された場合は、整骨院を利用する選択肢もあります。整骨院では、柔道整復師による手技や電気施術などにより、身体のバランスを整えたり、回復をサポートしたりするケアが可能です。
まず整形外科で症状の原因を確認し、必要な場合にのみ整骨院で施術を受ける流れが望ましいでしょう。
整形外科が向いているケース

以下のケースは整骨院での対応が難しく、整形外科の受診が必要です。
- 骨折・脱臼・重度の捻挫など明らかな外傷がある場合
- 関節や神経の異常が疑われる場合
- レントゲンやMRIなどの精密検査が必要な場合
- 薬物療法や注射、手術による治療が必要な場合
それぞれ、詳しくみていきましょう。
骨折・脱臼・重度の捻挫など明らかな外傷がある場合
転倒や事故で手足が大きく腫れたときや、強い痛みで動かせないような状態になったときは、整形外科の受診が必要です。
整形外科はレントゲンやMRIなどの検査を行い、骨折や脱臼といった重大な外傷を正確に診断できます。
たとえば、階段から落ちて足首をひどく捻った場合、整形外科での診断によって骨折の有無を確認し、必要に応じてギプス固定や手術といった適切な処置を受けられます。こうした対応は整骨院では行えないため、整形外科の受診が不可欠です。
関節や神経の異常が疑われる場合
しびれが出る、関節の動きが制限される、慢性的な痛みが続くなどの症状がある場合は、整形外科で検査が必要です。これらの症状の背景には、神経の圧迫や変形性関節症、椎間板ヘルニアなどの疾患が隠れている可能性があります。
たとえば、足にしびれが出て長時間歩けない、肩や膝の動きが極端に悪くなったといったケースでは、レントゲンやMRIで原因を特定し、適切な治療方針を立てることが重要です。
関節や神経の異常が疑われる場合には自己判断せずに、整形外科で医師の診断を受けましょう。
レントゲンやMRIなどの精密検査が必要な場合
痛みや腫れ、違和感の原因がはっきりしないときは、精密検査で内部の状態を確認することが欠かせません。
整形外科にはレントゲンやMRI、CTなどの検査設備が整っています。そのため、骨や関節、神経の状態を詳しく調べられます。
たとえば、長引く腰痛の背景に椎間板ヘルニアがあるかを判断するには、画像診断による確認が必要です。こうした検査は整骨院では行えないため、整形外科での受診が適切です。
薬物療法や注射、手術による治療が必要な場合
症状の改善に薬や注射、外科的処置などの医療的アプローチが必要なときは、整形外科での治療が適しています。
整形外科では、痛み止めや炎症を抑える薬の処方、関節内への注射などが行えます。骨折や関節の変形が進んでいる場合には、手術による治療も可能です。
たとえば、変形性膝関節症により強い膝の痛みがある場合、整形外科では薬物療法とリハビリを組み合わせ、関節注射や人工関節置換術といった外科的処置まで対応可能です。これらは整骨院では行えない医療行為にあたります。
整骨院での対応が検討されることがあるケース

以下のような軽度の症状は、整骨院でも対応が可能な場合があります。
- 捻挫・打撲などの急性のケガ
- ぎっくり腰や寝違えなどの突発的な痛み
- 日常生活での筋肉疲労や身体の歪み
- スポーツによる軽度なケガ
それぞれ、詳しくみていきましょう。
捻挫・打撲などの急性のケガ
軽度の捻挫や打撲など急性の外傷は、整骨院で対応可能な場合があります。
整骨院では包帯やテーピングによる固定、アイシング、手技療法など、炎症や痛みを和らげる施術が可能です。
たとえば、転倒して足をひねったり、どこかに強くぶつけたりしたときは、整骨院で早めに処置を受けることで悪化を防ぎ、回復を助ける効果が期待できます。
ただし、骨折や重度の外傷が疑われる場合は、整形外科での検査と診断が優先です。
ぎっくり腰や寝違えなどの突発的な痛み
ぎっくり腰や寝違えなど、突然強い痛みが出るケースは整骨院で施術を受ける方もいます。
整骨院では、患部の炎症を抑えるためのアイシングや、硬くなった筋肉を緩める手技療法などを行い、痛みの軽減と回復をサポートします。
たとえば、重い荷物を持ち上げた際にぎっくり腰を起こした場合、整骨院で適切な処置を受ければ痛みを抑えることが可能です。
ただし、痛みが長引く、しびれを伴うといった場合には、整形外科での精密検査が必要です。症状が重い場合は整形外科の受診を優先しましょう。
日常生活での筋肉疲労や身体の歪み
長時間のデスクワークや立ち仕事、さらには家事や育児などで、筋肉に疲労がたまり身体のバランスが崩れることがあります。こうした日常的な不調に対して、整骨院を利用する方も少なくありません。
整骨院では、姿勢の調整や筋肉の緊張を和らげる施術が行われ、コリや疲労感の緩和が期待できます。
たとえば、猫背や骨盤の歪みを整えることで、肩こりや腰痛の軽減につながる場合もあります。日常生活でのパフォーマンス向上や疲れにくい身体づくりにも役立つでしょう。
スポーツによる軽度なケガ
スポーツ活動で起こる軽い捻挫や筋肉の張りに対して、整骨院を利用する方もいます。
整骨院では、手技療法や電気治療などによる施術に加え、テーピングの方法やストレッチの指導を受けられる場合があります。
回復だけでなく、ケガの再発予防やコンディショニングの一環として活用することもできるのです。
整形外科と整骨院は併用できる?

整形外科と整骨院を同じ症状で同時期に保険利用することは認められていません。
たとえば、整形外科で腰痛の治療を受けている期間中に、整骨院でも同じ腰痛で保険施術を受けた場合、後から整骨院分が全額自己負担になる可能性があります。
ただし、以下のケースでは例外として併用できる場合があります。
- 別の症状や部位での通院
- 整形外科は保険、整骨院は自費で利用する場合
- 整形外科医の同意がある場合
※当院では交通事故に関する診療について、整骨院との併用は一切認めておりません。
参考:トヨタ車体健康保険組合|健康保険を使って接骨院等にかかるとき
まとめ
身体の痛みや不調を感じたときは、まず整形外科で医学的な診断を受けることが基本です。
整形外科は医師が在籍し、レントゲンやMRIによる検査、投薬や手術など、医学的な治療に幅広く対応できます。
一方で、整骨院は柔道整復師による施術を行う施設であり、捻挫や打撲などの急性外傷や、日常生活での筋肉疲労・身体の歪みのケアを中心にサポートします。医療行為は行えませんが、整形外科で治療が終了した後の回復サポートや、軽度な不調の緩和を目的とした利用には有効です。
迷ったときは、まず整形外科を受診して医師の診断を受けることをおすすめします。