対象となる主な疾患
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
主として喫煙が原因となる肺疾患で、咳、痰や息切れなどの症状がみられます。肺気腫や慢性気管支炎などが含まれます。胸部CTや肺機能検査などを参照して診断し、多くの場合、気管支拡張薬やステロイド薬の吸入療法が有効ですが、まず禁煙することが重要です。重症者では在宅酸素療法が必要となることがあります。
気管支喘息
ステロイド薬や気管支拡張薬の吸入が治療の主体となります。喘鳴がなくても咳がなかなか止まらない場合は、咳喘息の可能性もあります。
肺炎
細菌やマイコプラズマなどの病原体が肺内に侵入して咳、痰、発熱、呼吸困難などの症状がみられます。抗菌薬(抗生物質)を使用して治療を行います。
間質性肺炎
肺が次第に硬くなって、咳や息切れなどの症状が出現します。通常の肺炎とは異なり、多くは原因不明で有効な治療法のない難病です。気管支炎や肺炎などを契機に急激に症状が悪化する場合があります。
肺腫瘍(肺癌など)
CTや気管支鏡検査などを行って診断し、呼吸器外科と協力して手術や抗腫瘍薬、放射線療法などの治療を行います。新しい免疫治療薬が有効な場合があります。
肺結核
以前と比べると減少していますが、若い頃に結核にかかった人が、年を取ってから発症することがあります。多くの場合、抗結核薬によって治りますが、薬が効きにくい多剤耐性結核は要注意です。他の人に感染する恐れがある場合は、結核専門病院での入院治療が必要になります。
肺非結核性抗酸菌症
結核菌に近縁の細菌によって起こり、近年増加傾向にあります。あまり有効な治療薬がないことが多く、問題となっています。
肺真菌症
アスペルギルスなどの真菌(カビ)が原因で、抗真菌薬を使用しますが手術が必要になることがあります。