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主な疾患と検査、治療

前立腺がん

前立腺がんのマーカーであるPSAが注目されるようになり、前立腺がんと診断される患者さんが増えています。前立腺がんの最も重要な検査は、前立腺生検(組織検査)であり、当院では1泊入院、麻酔下で行っております。無麻酔で前立腺の生検を行って、非常に痛かった、つらかったという話をお聞きします。当院では痛みのない検査を心掛けておりますので、是非、ご相談ください。

治療は手術療法、ホルモン療法、放射線治療があり、治療法は個々の症例で検討いたします。

ロボット支援下前立腺全摘術、重粒子線療法、小線源療法など当院には行えない治療もありますが、患者さんのご希望に添えるよう、他病院をご紹介いたします。

腎がん、腎盂尿管がん

主に腹腔鏡を用いた腎摘手術、腎尿管全摘術、腎部分切除術などを行っております。腹腔鏡下手術は、濵砂医師、生田医師が産業医科大学勤務時より500例以上の数多くの症例を経験しております。近年、ロボット支援下手術も他院にて行われておりますが、当院で行っている腹腔鏡下手術でもほぼ同等の効果で、安全性も高くなっております。また、当院では手術までの待ち時間は短く、長期間手術をお待ちいただくといった不安は少ないかと思います。進行した症例に対しては、最新の抗がん剤による治療を行っております。治療の一部は、産業医科大学泌尿器科との共同研究も行っております。

腎盂、尿管がんの診断には、尿管鏡を使用して内部の観察および組織検査も可能です。

膀胱がん

肉眼的血尿の原因となる悪性腫瘍で最も頻度が高いものが、膀胱がんです。膀胱粘膜より発生し、時間とともに膀胱の筋層に浸潤し、その後全身転移を起こすことがあるがんです。このため、当院では膀胱がんを発見した場合、できるだけ早期に手術を行うことをモットーとしております。症例によっては受診から1週間以内の手術も可能ですので、血尿のコントロールや精神的な不安を和らげることができると信じております。

膀胱がんの手術の主体は経尿道的手術(経尿道的膀胱悪性腫瘍切除術)で、90%以上の症例では内視鏡的手術で治療が可能です。ただ、運悪く進行がんであっても、可能な限り膀胱全摘術を行い、根治を目指します。当院では膀胱全摘は腹腔鏡下膀胱全摘術を行っております。出血をしない手術を心掛けております。また、膀胱全摘の際には、尿路変更術が必要です。腸管を利用するため、当院外科と連携して治療を行っております。また、一部の症例では腸管を使用し新しい膀胱を作成する新膀胱造設術も行います。手術の適応に関しては、患者さんと十分に相談の上行います。

しかし、できる限り膀胱を温存するために、BCG膀胱内注入療法や抗がん剤を用いた化学療法を行います。転移がある症例には、最新の抗がん剤による治療を行っております。治療の一部は、産業医科大学泌尿器科との共同研究も行っております。

前立腺肥大症

内服治療で改善しない場合、経尿道的手術を行います。経尿道的前立腺切除術は古くから行われている手術の一つです。近年、レーザーなどを使用した手術法も開発されておりますが、当院では手術経験の多い医師が手術を行っており、新しい治療と遜色ない治療を行っていると自負しております。なお、2023年12月より経尿道的前立腺つり上げ術(ウロリフト)を開始しました。詳細は、こちらをご覧ください。

感染症

膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎、精巣上体炎を繰り返す症例、難治性の症例に対しては、精密検査を行います。また、近年増加している性感染症、特に尿道炎(淋菌性、クラミジア性、マイコプラズマ性)、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマなどの診断、治療も行っております。濵砂医師は日本性感染症学会の副理事長を務めており、色々な知識を有しておりますので、是非ご相談ください。

1.Mycoplasma genitalium(マイコプラズマ・ジェニタリウム)感染症

マイコプラズマ・ジェニタリウム(以下、M. genitalium)は1980年に発見された細菌で、男性の尿道炎、女性の子宮頚管炎、骨盤内臓器感染症の原因となります。近年、不妊症、早産、流産との関連が研究されております。

泌尿器科部長の濵砂医師は2004年にデンマーク王立血清研究所に留学し、M. genitaliumの研究を現在まで行っております。特にM. genitaliumの培養検査は難しく、世界で5つの研究所が行っているのみです(日本では濵砂医師が組織を立ち上げ、産業医科大学で現在行っております)。

M.genitaliumは抗菌薬に対して耐性が進んだ細菌であり、治療が難しい細菌の一つです。このため、尿道炎や子宮頚管炎として治療を受けたけれど治らない症例が増加しております。当科ではこのような治療困難症例に対して、色々な治療法を行っておりますので、是非ご相談ください。診療の一部は、産業医科大学泌尿器科との共同研究として行っております。

2.梅毒

我が国での梅毒の流行は、深刻な状況です。女性では20歳代、男性では20~40歳代で急増しております。梅毒は「偽装の達人」と呼ばれることが多い診断のつけにくい疾患の一つです。濵砂医師は日本性感染症学会の副理事長として、多くの症例の検討を行い、治療を行ってきました。梅毒の診断の基本は、梅毒抗体反応です。当院では採血後約1時間で結果をお示しできます。ただし、梅毒抗体反応は梅毒の病期により、その判断が異なりますので十分な検討が必要です。

3.繰り返す膀胱炎、腎盂腎炎(反復性尿路感染症)

女性の悩みの一つに、膀胱炎(排尿時痛、頻尿、下腹部不快感)を繰り返すことがあります。女性は解剖学的に、男性と比較して膀胱炎になりやすいといわれておりますが、年間に5~6回再発を繰り返す症例には、予防が必要となります。

現在、すぐに予防できる方法はありません。当院では長年の経験や研究により、様々な膀胱炎の予防法を提案することができますので、一緒に考えていきたいと思います。ただし、尿路の結石や、がんが膀胱炎の原因となることもまれではありませんので、原因となる疾患がないかどうかも同時に検査を行っていきます。

尿路結石症

尿路(おしっこの通り道)に結石が存在する状態です。結石の存在する位置により腎結石症、尿管結石症、膀胱結石症、尿道結石症に分類され、結石の存在により血尿や腰背部痛、腹痛、排尿困難、排尿時痛などの症状を生じることがあります。また結石により、尿の流れが妨げられることで腎臓での炎症(腎盂腎炎)を発症し、高熱が出ることもあります。

当院当科では尿路結石に対する診療を積極的に行っております。

結石に伴う疼痛や、結石に伴う腎盂腎炎など、緊急的な状況にも対応させていただきます。

当院では軟性尿管鏡やレーザー装置も保有しており、腎から尿道にかけて、全ての部位の結石に対応可能です。また大きなサイズの腎結石に対する経皮的腎砕石術も行っております。

結石による症状でお悩みの方、尿路結石を指摘された方は是非当科に御相談ください。

精索静脈瘤に対する顕微鏡下精索静脈瘤根治術

男性の不妊症の原因の一つに精索静脈瘤があります。精索静脈瘤手術では、病的な精索静脈をすべて切断し、逆流しないようにする事が手術の基本手技です。

精索静脈瘤の手術方法は開放手術である高位結紮術、腹腔鏡下精巣静脈結紮術、顕微鏡下精索静脈瘤手術(低位結紮術)に大別されますが、顕微鏡下精索静脈瘤手術が合併症や再発率が少なく、治療効果に優れた方法として認識されており、当院では本法にて治療を行っております。

顕微鏡下精索静脈瘤手術は拡大した視野で手術を行えるため、動脈やリンパ管を温存できる可能性が非常に高く、より確実に静脈のみを結紮する事ができます。顕微鏡下精索静脈瘤手術は傷が小さく、術後の痛みの程度も軽いです。しばらくの間は入院にて対応しますが、将来的には日帰り手術も考えています。

・精索静脈瘤とは

主に陰嚢の上方(左側が大部分)に、うずらの玉子程度の軟らかい腫瘤を触れる事があります。陰嚢に痛みを感じる事があり、男性の不妊症の一因となる事があります。ご自身で診断をつけるのは難しいため、陰嚢に異常を感じる場合には、泌尿器科への受診をお勧めします。

男性機能障害

男性機能障害は、主に勃起障害(ED)と男性更年期障害があります。ED20年以上前より治療薬が発売されておりますが、基礎疾患の状態により効果に差があります。従って、治療を行う場合、全身検査も必要となることがあります。

男性更年期障害は、男性ホルモンの低下によっておこり、気力や性欲の減退、疲労感、うつ症状など様々な症状が起こります。男性ホルモンの低下した状態には、男性ホルモンの補充により症状が改善することが期待できます。しかし、すべての症状が改善するわけではなく、個人差が大きいのも事実です。また、これらの男性機能障害は非常にプライベートな問題や精神的な問題を抱えていることも多く、一般外来では対応できないこともあります。このため、水曜日の午後に、男性機能障害外来を開設することになりました。担当は性機能学会の学会員である生田医師です。ゆっくり時間をかけて診療を行っております。ご相談ください。

その他

泌尿器科疾患の治療は、個々の症例、症状により検査法、治療法が異なります。複数の治療法がある疾患もありますので、それぞれの状況に応じた治療を行います。また、上記以外の腹腔鏡手術にも対応いたします。自己導尿や尿道カテーテル管理など、詳しくご指導いたします。

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