骨粗鬆症センター
人生100年時代を迎え、最後まで自分の足で歩くために、骨の健康がなくては成り立ちません。
当院では高齢社会を迎えるに先立ち、平成15年10月にいち早く「骨粗鬆症センター」を立ち上げ、北九州東部の骨粗鬆症治療のメッカとして尽力してまいりました。
骨粗鬆症の一次検診や、二次検診施設としての役割に加え、他院で治療に難渋する症例なども積極的にご相談いただき、最新の治療に取り組んでおります。
骨粗鬆症になって最も問題になるのは、弱くなった(脆弱化した)骨が、若いときには折れるはずのない軽微な力や、尻もちなどで、いとも簡単に骨折してしまうようになることです。
骨粗鬆症は、高血圧や高脂血症、糖尿病と同じく、はじめは全く症状をおこしません。
骨折を起こして初めて骨粗鬆症と診断される方はいまだに多くおられます。
そのためには、早期に骨粗鬆症を発見し、早期に治療を開始することは、極めて重要です。
また万が一、どこかが折れた場合、骨折を治療することは当然として、骨粗鬆症がその背景にある場合、他にも折れやすい場所があることになります。
つまり、二度目、三度目の骨折をおこす危険性があるということです。
そのため一度骨折を起こしたら、同時に骨を正確に評価し、適切な骨粗鬆症治療を開始することが、二度目、三度目の骨折を起こさないようにするために重要となります。
骨粗鬆症の原因として、女性の閉経は非常に有名です。女性ホルモンは骨の健康の維持には不可欠です。
若い中高生が過度な運動のために、生理不順・無月経になり、疲労骨折をおこしやすくなることも、女性ホルモンのアンバランスが原因といわれています。
またカルシウム吸収に不可欠なビタミンD不足は、意外にも日本人に男女問わず多く存在しています。
男性は女性ホルモンとの関与が極めて少ないため、骨粗鬆症とは無縁のように思われがちですが、実は男性にも「かくれ骨粗鬆症」ともいうべき方々がいます。
代表的なもので、喫煙者に多い慢性閉塞性肺疾患(COPD)や、アルコール多飲、糖尿病は、骨粗鬆症の危険因子と言われています。
タバコやアルコールを摂取出来ているときは、骨粗鬆症として影響を表しませんが、タバコやアルコールを辞めて、10~20年後にCOPDが発症したり肝硬変になったりしたときには、既に重篤な骨粗鬆症を合併しています。
またお酒に弱い体質と言われているアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の不活性型を持つ方は骨粗鬆症の率が高く、またお酒を飲む習慣があるとより骨粗鬆症になりやすいとも言われています。
さらには生活習慣や遺伝的体質だけではなく、生活様式や骨の受ける外力によっても骨粗鬆症に伴う骨折は起きやすさが変わります。
同じ骨密度でも、転倒の仕方や骨の形状の違いにより骨折しやすさの違いを生じることが、3次元CTデータを利用した骨形態の評価によりわかってきています。
以上のような知見を踏まえて、当院の骨粗鬆症センターでは、COPDに伴う続発性骨粗鬆症の病態解明や疫学調査、また3次元CTデータを利用した骨形態による骨折リスクの評価、さらには骨粗鬆症治療を円滑にするための多職種連携によるサービス(Osteoporosis Liaison Service, OLS)の導入など、オリジナリティを持って臨床サイドからの骨粗鬆症病態解明や、最新の骨粗鬆症治療体系の作成を積極的におこなっています。
骨粗鬆症の原因は非常に多岐にわたりますので、過信せずに、一度検診を受けていただくことを、お勧めいたします。